当然できる、と信じて疑わなかった、
「耳抜き」ができなかったのです。
スクーバのライセンスを取ったときにはできたのです。
何年ぶりかに潜った際、どうしてもできなかったのです。
しかもその事態は、もっとも重要なときにやってきました。
場所は、世界中のスクーバダイバーの憧れ、海中世界遺産の地域。
成田からジェット機、プロペラ機、ジープ、チャーター船と乗り継ぎ、
大変な時間と労力を要して辿り着いた場所で起きました。
大変な時間と労力を要して辿り着いた場所で起きました。
スクーバの機材を装備して、撮影用のカメラもチェック。
船のヘリに腰掛けて、そのまま背中から海中へザブン!
徐々に水深を下げ、耳に違和感がやってきました。
さぁ耳抜きをしようと、鼻をつまんで・・・キュ!
あれ、抜けない・・・!?
仲間の一行はどんどん下へ。
どんなに力んでも、なにしても抜けず。
なんで抜けない!?
世界遺産を目の前にして引き返すわけにもいかず。
結局、耳と頭が痛いのを我慢して潜ったのです。
船に上がったら、耳の中に水が入っていました。
トントンやっても、逆立ちしても抜けません。
綿棒もティッシュも、中に水をいれる荒療治もだめ。
水のガサガサ音がして、聴力も落ちてよくきこえません。
帰国して1週間たってもガサゴソ音が消えないので、
有名な耳鼻科にいきました。
なかなか怖い先生で、
なんで耳抜きできないのに潜るんだ、
引き返さないんと駄目だ!と怒られました。
なんでも水深を下げてコマクに圧力がかかった状態で、
耳の内側から圧力を均等にしようとして、体液がでてくるとか。
それがガサガサいってたわけで、
海水が入ってしまったわけではないようです。
コマクの内側なんで抜けないわけです。
先生は、そのままほって置けば治るとのこと。
そのとおり2週間後には、自然に治っておりました。
その1年後。
また同じ海中世界遺産に行くことになりました。
昨年の二の舞は踏みたくない、とネットであらゆる耳抜き対策を収集、
万全の準備をしていきました。
耳抜きのさまざまなテクニックにくわえて、
十分な睡眠、ガム噛み、鼻づまり対策、唾呑み、事前耳抜き、
横向き耳抜き、など、徹底的に予行準備をしていったのです。
そしてまた、大変な苦労の末、現地へ。
昨年と同じ光景。
今度こそ大丈夫だ!と、海中にサブン。
5m程潜ったときに、鼻をつまんで、キュっ!
・・・あれ、抜けない。
あわてずに、抜けない対策を順々に試してみます。
・・・抜けない。
あれだけ準備したのに、耳抜きができないのです。
前回と違ってあわてているわけでもなく、
冷静に試しているのですが、ぜんぜん耳が抜けません。
一行はどんどん海底へ。
水深計は5m。
それ以下に下げようとすると、耳と頭が痛くなります。
なぜか前回よりもさらに痛くて、激痛状態。
ひととおり全部やっても抜けず。
もはや、ここまでか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結局、その後、とっさに思いついた方法で、
耳抜きしないまま、30mの深さまで、潜りました。
耳のことを考えたら、絶対にいけないことですが、
こんな僻地まできて仕事せずに帰ることは許されない状況でした。
海中で上記のような状況に陥った人のため、
その時やった方法を記載しておきます。
まず、耳抜きできずに潜ると、5m地点で耳と頭が痛くなります。
痛くてがまんできず、それ以上水深を下げれなくなります。
がまんして潜ると、先述したとおりの結果になります。
下手するとコマクが損傷します。
ここまでは上記に書いたとおりです。
僕は、水深計をチェックして、5m地点で5分程滞在しました。
すると、耳の痛みが突然スッと消えます。
これは水圧に慣れたと思われます。
慣れたら、50cm水深を下げます。50cmです。
1m下げると、耳と頭が痛くなります。
耳が痛くなるギリギリまで、水深を下げます。
耳と頭が痛くなったら、すぐ30cm上に上がります。
そして1分その水深にいます。
痛みがスッと消えますので、そうしたら50cm下げます。
本当に30cmとか、50cmの感覚です。
こうして無理に耳抜きをせずに、
水圧に少しずつ慣らして、少しずつ、少しずつ、水深を下げたのです。
耳と頭が痛くなったら、30cm浮上、慣れたら50cm下げ、
空気を送ったり排出したりする、レギュレーターは1プッシュのみ。
ジワジワと水深を下げました。
結局、耳抜きせずに20mを超えて、30m近くまで潜りました。
ある程度の水深までいくと、もう頭痛や耳の痛みは起きません。
ただ、今度は上昇するときに、
水深下げる時ほどではありませんが、
また耳が痛くなり、同じ方法でちょっとずつ上がりました。
これで、3日間乗り切りました。
前回のようなことにはなりませんでした。
参考にもなんにもならないと思いますし、本当は潜っちゃいけません。
しかし。
僕と同じような境遇になる方がいるかもしれません。
知識として役立つかもしれん、と書きました。
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