<やっくんの投稿>

let0013-024


スクーバーダイビングで、どうにもこうにも、耳抜きができなかったレポートです。

当然できる、と信じて疑わなかった、
「耳抜き」ができなかったのです。

スクーバのライセンスを取ったときにはできたのです。
何年ぶりかに潜った際、どうしてもできなかったのです。
 
しかもその事態は、もっとも重要なときにやってきました。

場所は、世界中のスクーバダイバーの憧れ、海中世界遺産の地域。

成田からジェット機、プロペラ機、ジープ、チャーター船と乗り継ぎ、
 大変な時間と労力を要して辿り着いた場所で起きました。

スクーバの機材を装備して、撮影用のカメラもチェック。
船のヘリに腰掛けて、そのまま背中から海中へザブン!

徐々に水深を下げ、耳に違和感がやってきました。
さぁ耳抜きをしようと、鼻をつまんで・・・キュ!

あれ、抜けない・・・!?

仲間の一行はどんどん下へ。
どんなに力んでも、なにしても抜けず。

なんで抜けない!?

世界遺産を目の前にして引き返すわけにもいかず。
結局、耳と頭が痛いのを我慢して潜ったのです。

船に上がったら、耳の中に水が入っていました。
トントンやっても、逆立ちしても抜けません。

綿棒もティッシュも、中に水をいれる荒療治もだめ。
水のガサガサ音がして、聴力も落ちてよくきこえません。

帰国して1週間たってもガサゴソ音が消えないので、
有名な耳鼻科にいきました。

なかなか怖い先生で、
なんで耳抜きできないのに潜るんだ、
引き返さないんと駄目だ!と怒られました。


なんでも水深を下げてコマクに圧力がかかった状態で、
耳の内側から圧力を均等にしようとして、体液がでてくるとか。
それがガサガサいってたわけで、
海水が入ってしまったわけではないようです。
コマクの内側なんで抜けないわけです。

先生は、そのままほって置けば治るとのこと。
そのとおり2週間後には、自然に治っておりました。


その1年後。


また同じ海中世界遺産に行くことになりました。

昨年の二の舞は踏みたくない、とネットであらゆる耳抜き対策を収集、
万全の準備をしていきました。

耳抜きのさまざまなテクニックにくわえて、
十分な睡眠、ガム噛み、鼻づまり対策、唾呑み、事前耳抜き、
横向き耳抜き、など、徹底的に予行準備をしていったのです。

そしてまた、大変な苦労の末、現地へ。

昨年と同じ光景。

今度こそ大丈夫だ!と、海中にサブン。

5m程潜ったときに、鼻をつまんで、キュっ!

・・・あれ、抜けない。

あわてずに、抜けない対策を順々に試してみます。

・・・抜けない。

あれだけ準備したのに、耳抜きができないのです。
前回と違ってあわてているわけでもなく、
冷静に試しているのですが、ぜんぜん耳が抜けません。

一行はどんどん海底へ。

水深計は5m。

それ以下に下げようとすると、耳と頭が痛くなります。
なぜか前回よりもさらに痛くて、激痛状態。
ひととおり全部やっても抜けず。

もはや、ここまでか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


結局、その後、とっさに思いついた方法で、
耳抜きしないまま、30mの深さまで、潜りました。

耳のことを考えたら、絶対にいけないことですが、
こんな僻地まできて仕事せずに帰ることは許されない状況でした。



海中で上記のような状況に陥った人のため、
その時やった方法を記載しておきます。



まず、耳抜きできずに潜ると、5m地点で耳と頭が痛くなります。
痛くてがまんできず、それ以上水深を下げれなくなります。
がまんして潜ると、先述したとおりの結果になります。
下手するとコマクが損傷します。

ここまでは上記に書いたとおりです。

僕は、水深計をチェックして、5m地点で5分程滞在しました。
すると、耳の痛みが突然スッと消えます。
これは水圧に慣れたと思われます。

慣れたら、50cm水深を下げます。50cmです。
1m下げると、耳と頭が痛くなります。
耳が痛くなるギリギリまで、水深を下げます。

耳と頭が痛くなったら、すぐ30cm上に上がります。
そして1分その水深にいます。
痛みがスッと消えますので、そうしたら50cm下げます。
本当に30cmとか、50cmの感覚です。

こうして無理に耳抜きをせずに、
水圧に少しずつ慣らして、少しずつ、少しずつ、水深を下げたのです。
耳と頭が痛くなったら、30cm浮上、慣れたら50cm下げ、

空気を送ったり排出したりする、レギュレーターは1プッシュのみ。
ジワジワと水深を下げました。

結局、耳抜きせずに20mを超えて、30m近くまで潜りました。
ある程度の水深までいくと、もう頭痛や耳の痛みは起きません。


ただ、今度は上昇するときに、
水深下げる時ほどではありませんが、
また耳が痛くなり、同じ方法でちょっとずつ上がりました。

これで、3日間乗り切りました。
前回のようなことにはなりませんでした。

参考にもなんにもならないと思いますし、本当は潜っちゃいけません。

しかし。

僕と同じような境遇になる方がいるかもしれません。
知識として役立つかもしれん、と書きました。